あなたの小説はなぜラストまで書けないのか。あるいは読まれないのか。

文章が読みにくい、冒頭しか読まれない、最後まで書けない、という初心者が陥りがちな悩みを少しだけアドバイスします。

プロットは本当に必要?

小説の書き方や指南本に、必ずといっていいほど出てくるプロット。

ほとんどが「プロットは必要不可欠。まずあらすじを書いて、筋書き(プロット)を作成しましょう」とあります。

 

指南本のなかにはサンプルとして、筆者自身が書いたプロットの一部が掲載されていることがあります。

映画のシナリオのように、いつ、どこで、だれが、だれと何をしている、といった内容が箇条書きになっているのが大半。

プロットを詳細に書けば書くほど、あとは執筆するだけの段階になります。

 

物書きならば、プロットを書かねば。キーボートの前に座って、想像した小説のあらすじを書き、次にプロットを作成していきます。

がんばって、がんばって、何度も修正して、やっと完成。

が、ここで大きな問題が発生。

「ああ、終わった。これ以上、書く気がしない!」

 

プロット作成後⇒同じシーンを書くのが苦痛。というタイプは、プロットを書くのに向いていません。

プロットを書いているときはいろんなシーンや人物が頭に浮かび、どんどん話が進んで楽しいのですが、終わった話をまた書き直すのは退屈で苦手なのです。

……ええ、それは私です(苦笑)

 

だからプロットを作成しても、そこで力尽きてしまうため、あらすじで留めています。そのぶん、執筆に時間を割くことのなるのですが、別の問題が発生します。

「ああ、話が予定していたのと違ってきた!」

 

これが構成編で解説した、物語を完結させられない、につながります。だから最後まで書き切る自信がない場合、プロット作成をしたほうがいいかもしれません。せめて、あらすじだけでも書いておきましょう。

 

じゃあプロットを作成せず、ラストまで書くにはどうすればよいのか?

 

あくまでも私の場合ですが、書く前の段階にじっくり時間をかけることです。もしくは、起承転結の『起』のみ書いて、それから展開をどうするのかを再考します。

要するに妄想タイム(笑)

 

そして思い浮かんだエピソードを並べ、だいたいどれぐらいの長さにするのかを計算します。1エピソード=原稿用紙10枚前後程度とし、起承転結に当てはめていきます。それをメモ。

 

あと大事なのが、ラストをきちんと決めているかどうか。

ラストがあれば、エピソードやキャラをどう動かすのかを計算できます。ゴールへ向かって行動させればいいのですから。

その行動は伏線を張りつつ、描写します。情報を小出しにして、小さな謎を作り、明かし、そのあいだにまた別の謎を作って、明かします。ひたすらそのくり返し。

 

文章編でも書きましたが、このとき知識が不足していると描写だけでなく、思うように話の展開ができません。人間、自ずから知っていることの範囲を超えて、想像することが難しいためです。

私は多読タイプではないので、まだまだ知らないことはたくさんあります。それでも、小説だけでなく、資料として興味ある書物をいろいろ読んでみるのをおすすめします。話の幅が広がります。

 

逆に、執筆を作業としてこなせるタイプは、プロットの作成をおすすめします。

プロットがあれば、もしデビューしたとき、出版社に次回作のプロットを読んでもらうことになります。

 

物書きには大きくわけて2つのタイプがあります。

 

・物語を論理的に構築できるタイプ。

お話が自然に浮かぶのではなく、まず何を書くのか考え、それに合ったキャラや世界観を作成。将棋の駒のように、じっくりと思考しながらプロットを作成したのち、淡々と執筆作業をこなす。

このタイプの強みは、流行のジャンルや物語を書けることです。作家デビューしやすいのも、おそらくこのタイプ。

ただ、書くのが楽しいのかどうかは謎です。私はタイプがちがうのでわかりませんが、職人気質なのは間違いないです。

 

・物語が勝手に浮かんでくるタイプ。

ある時、降って湧いたように、お話が脳内に発生。小説を書かない人は、その妄想をするだけで終わるのですが、物書きになると文章にしてみたくなる。だからいきなり、プロットもないまま書いてみたりする。

このタイプの強みは、独創的な作品が書けることです。まず自分が好きな世界や人物を持ってくるため、作者の好みがはっきり出ます。

純粋な趣味として書いている人は、こちらが大半なのではないでしょうか。

 

その中間タイプもいると思いますが、ざっとこんな感じ。

自分がどちらなのかをまず見極めてから、プロットを作成するかどうか考えましょう。向いてないと、徒労に終わってしまいます。