あなたの小説はなぜラストまで書けないのか。あるいは読まれないのか。

文章が読みにくい、冒頭しか読まれない、最後まで書けない、という初心者が陥りがちな悩みを少しだけアドバイスします。

一文の長さと漢字、句読点、重複。

【例1】

太郎は勇者になる為に毎日修行をしていたが森の熊はとても強くて気がついたらいつも負けて伸びた。勇者の父親がやって来て斧の使い方を教えたけど太郎はまだまだ未熟だから、熊に勝てそうにないし旅に出るのはまだまだ先になりそうだった。畢竟、熊は強剛だ。

 

小説を書き始めた初心者にもっともありがちなパターン文書を、即興で書いてみました。

そのなかの問題になるだろう、箇所を挙げていきます。

 

・その1

一文が長すぎるため、読み手の頭にすらすら入ってこない。

 

だいたい理想の長さは40文字まで言われています。それより文字数が多くなると、ある程度書き慣れた人じゃないとわかりやすい表現ができません。

が、ここに落とし穴が。

短けりゃいいんでしょ、と単語+数文字レベルの文章も読みにくい。

 

太郎がいた。勇者になりかった。強い熊いた。熊の攻撃にやられた。父親が来た。斧の使い方詳しい。太郎マスターしていない。旅は無理だ。熊強い。

 

長文よりわかりやすいとはいえ、これでは小説というよりメモ書きを読まされている気分。細かく読点がついてるせいで、人物の動き――つまり、描写がぎこちないです。

RPG(ド○クエ)のテキストみたい。もしくはラッパー。「イエーイ!」と突っ込まれそう。



・その2

句点がなさすぎる。

 

太郎は勇者になる為に毎日修行をしていたが、森の熊はとても強く、気がついたらいつも負けて伸びた。

 

例文に二つ句点を入れ、余分な助詞、とても強く「て」を削除。これだけでかなり読みやすくなったと思います。

 

これ簡単なようでいて、実際、書き手になるとついついやってしまいがちなパターン。

回避策としては、声に出して読んでみることでしょうか。恥ずかしかったら、つぶやく程度でも構いません。

文章のリズムをつかむには、日本語で書かれた古今東西書物を読んでみるのが一番のおすすめです。

セリフだけのマンガや、ネット散文のようなラノベばかりだと、なかなか身につかないです。



・その3

一文に同じ単語を使っている。

 

急いで書いた時、私もついやってしまうのですが、同じ言葉を二度出してしまうことがあります。読み直せばすぐにわかるので、再読するのが解決方法。

 

『太郎はまだまだ未熟だから、熊に勝てそうにないし旅に出るのはまだまだ先になりそうだった。』

 

上記では「まだまだ」が該当します。どちらかの単語を削除しましょう。

 

一文だけでなく、たびたび作品内で同じ単語を使うのは減らしましょう。ほかに言い換えがあれば、それを使います。

 

例:まだまだ⇒未だ



・その4

難読漢字を使いたがる。

 

『畢竟、熊は強剛だ。』

これ、読めますか? 読めたとしても意味はわかりますか?

 

初心者は、小難しい表現を使えば、文章がランクアップすると思い込んでしまいがち。

できるだけ常用漢字に留めておき、どうしても使用したい場合以外は使わないようにしましょう。

なじみのない漢字が多ければ多いほど、読み手に負担がかかります。