あなたの小説はなぜラストまで書けないのか。あるいは読まれないのか。

文章が読みにくい、冒頭しか読まれない、最後まで書けない、という初心者が陥りがちな悩みを少しだけアドバイスします。

自称、読書家

投稿サイトの創作論でときおり見かけるのですが、「私はこれだけ本を読んでます」というタイトルと感想をならべた記事。
そしてずらずら並んだ作品名がどれも、ベストセラーや有名な作家さんばかりだと趣味が読書の人なんだと思います。あくまでもエンタメ的ストーリーを楽しむためで、知られていない作品には手を出さないタイプ。
それはそれで個人の趣味だからどうでもいいんだけど、そんな書き手が「物を書くなら、たくさん読書をすべき」とアドバイスされていると、微妙な気持ちになります。

当指南編にも書いているとおり、できれば幅広く深い内容の作品を書きたいのならば、小説以外の書籍も読んだほうがいいです。知識の幅が断然、広がりますから。
じゃあどんな作品を読めばいいのかというと、まず自分が書きたいジャンルに沿った言葉でアマゾン等で検索をかけます。そして、そのなかからレビューや出版社を参考しながら、どれを読むのか決めればいいです。
なぜ出版社を参考にするのかといえば、大手だと外れの率が低いのと値段があまり高くないのがあります。零細や個人出版は、高いわりには内容がいまひとつという、リスクが高いので買う場合は慎重に考えましょう。

とくに書きたいジャンルが決まっていない場合は、同じ小説でも外国人作家のベストセラーを読んだらいいです。
日本人同士ならなんとなくわかる空気がいっさいないため、読んでも理解しづらい描写があるかもしれません。それでも、日本人作家にはない感性や知識を得ることができますし、新たな驚きもあります。

……以上はあくまでも、物書きをしたい場合ですので、純粋な趣味の読書ならラノベでもベストセラーでも好きなのを読んでください。
ただ、第三者に自作を読ませるとなると、狭い世界や少ない知識で書かれた作品は面白みがないです。

まあ、知識が無くてもお約束満載で書けて、かつ人気あるのがネット小説の現状なので、ネット小説が好きな方は、これを読まれてもピンとこないかもしれません。
自称読書家の書き手を、「すごい読書量。尊敬します!」絶賛コメントいっぱいなのが、現状なのですから。
いかに書き手同士が本を読んでないのか、というのが傍から見ると丸わかり……。

かくいう私も、あまり本を読んでません。だけど、資料を集めるときは専門書を漁って読みまくります。ふだんはなかなか読書をする時間が取れない。
こういうとき、専業主婦だったらたくさん時間とれるからいいですよね。
しかしお金がないと本を買えないという事情もあるので、あくまでも裕福な専業主婦のお話です。バブル時代ならともかく、それだけ恵まれている人は、今の日本にはほとんどいないと思う。それも読書離れの一因。

 

 余談。

その自称、読書家で有名な人が、お笑い芸人で芥川賞を受賞した作家さん。処女作 火花 でいきなり受賞したのだから、さぞかし読書リストもすごいのだろう、と私は期待したんですが、ラインナップを見てがっかりしました。
まず、翻訳ものがほとんどない。そして文芸小説ばかり。ノンフィクション系すらないのはどういうことなのだろうか、と。
案の定、アマゾンレビュー読んだら、芥川賞作家とは思えないような内容の作品でした。買って読むのも癪だから、いつか無料で読む機会があれば読むかもしれません。あくまでも話題作りで書かせ、受賞させたのが丸わかりです。